今回の参院選の投票率は48.8%で、50%を下回るのは24年ぶりだそうだ。数字の低さに嘆いている人がいますが、わかりやすい争点がなければこんなものではないでしょうか?
投票率の低かった過去の選挙を振り返る
まず、24年前の参議院は、なぜ低かったのか?
平成7年(1995年)7月、第17回参議院議員通常選挙。
争点としては、「村山政権の是非」、「阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件の政府対応の評価」。
3年に1度の定期的な選挙といっても、争点なさすぎでは?
そして、下野したあとの自民党は社会党と連立だったりと、有権者はしらけていたのかな?
次に衆院選の投票率をみてみる。
平成5年(1993年)に投票率が落ち(67.26%)、さらに平成8年(1996年)に落ちた(59.65%)。
バブルが崩壊し、日本がグダグダの中、政治家もグダグダだった。1992年から始まった新党ブームで政治家の所属政党が頻繁に変わった時代だった。
争点らしい争点はなく、消費税5%に増税に至っては増税反対の勢力は大してなく、政局を争うことに終始していた。
投票率には争点は重要
衆院選のグラフで、投票率が大きく回復した時があります。平成17年(2005年)と平成21年(2009年)だ。
平成17年は小泉政権による郵政選挙。そして、民主党が第一党になった政権選択解散。
わかりやすい二項対立なら、投票率は上がるのです。わかりやすければ、メディアも盛り上がる。
それは、アメリカでもそうで、大統領選と中間選挙では投票率は大きく違う。盛り上がりは大事なのです。
だからこそ、対立軸は簡単な方がいい。政党が増えれば、それだけ争点は薄まっていく。メディアは、政党を平等に取り上げようとするのだから、できれば政党数は少ないほうがいい。
無理やり盛り上げても意味がない
しかし、ただ盛り上がれば良いのかというと、そうではないと思うのです。なぜなら、みんな真面目だから。
組織票を投じる人たちが不真面目だとは言う気はないのですが、「投票するなら真面目に考えたい」、「間違った選択をしたくない」という意識が無党派層にはあるのではないでしょうか。
過去の選挙から、政党数が多くなると投票率は下がるということはあるのです。
これは、選択肢の多さが、有権者の負担になっていると取ることもできます。政党数が多いということは、それだけ有権者の読み込まなければいけない情報量が増えるということ。
しかし、その情報を選挙期間中に読み込むのはなかなか難しいのでは。
若者は真面目だから
そして、若者と老人とでは情報の読み込み方が違うのです。若者は、まず政治に大きな先入観を持っていません。結構フラットなのです。だから、考えることが多い。じっくり考えていたら選挙が終わっていたという人もいるのでは?
対して、老人は長年の経験と凝り固まった先入観で簡単に投票できる。この違いが、年代別の投票率につながるのではないでしょうか。
老人の投票率の高さは、投票の義務を遂行しているのではなく、ただ権利を行使しているだけなのでは?
近年、若者が自民支持ということを嘆いている方がいますが、真面目だからこそ、自民なのでは。間違った選択はしたくないということ。(みんなが選択した結果と、自分の選択が同じであることが正解だと思っている人結構いるそうです。)
そして、若者の自民支持と言っても、投票に行った30%ぐらいの若者の中での7割が自民党支持なら、自民党が獲得した票は若者全体の20%程度です。のこり80%は、結局は意思決定していなかったり、他の政党を支持したということ。
最後に
投票率を上げるのに、広告手法とか、お祭り騒ぎにするとか、アホなことは止めたほうがいい。
選挙は面倒と言っている人たちも、本音の部分は「真面目に投票することは、今回は難しい」というだけなのだと思うので。